第282章 お前らの目を潰してやる!(26)

鈴木てんいちのイケメンな外見は、他校の女子生徒たちの注目を集めていた。テントを持っていない彼を見かけた女子の中には、積極的に声をかけてくる者もいた。

大体の内容は、一緒にテントを張るのを手伝ってもらい、その代わりに彼女のテントの半分を鈴木てんいちに分けてあげて、一緒に寝られるというものだった。

水無瀬元宗への接近が失敗に終わった女子の何人かは、鈴木てんいちに目標を切り替えていた。

一つには助けを求めたいという思いがあり、もう一つは鈴木てんいちがイケメンで、紅葉学園の生徒だということだった。誰もが知っているように、紅葉学園の生徒のほとんどは、家庭環境が非常に恵まれている。もし鈴木てんいちの彼女になれれば、オーディションで芸能人になるよりも成功できるかもしれない。

この年齢の学生たちは、ほぼ成人に近く、半分は社会に足を踏み入れている。そして青春の胸の高鳴りもあって、みな大胆になっていた。

鈴木てんいちは個性的な性格で、それは杉本瑠璃もよく知っていた。いつも彼女に付きまとっているように見えるが、本質的には、鈴木てんいちはプライドの高い人間だった。

威厳を持って女子たちの誘いを次々と断り、その後すぐに杉本瑠璃の元へ走ってきて、にこにこしながら「わかばちゃん、君のテントは二人用だよね!」と言った。

杉本瑠璃はテントを張りながら、鈴木てんいちを一瞥して言った。「私は手伝いも必要ないし、誰かと一緒に住むつもりもないわ。」

これで、鈴木てんいちの次の言葉を完全に封じ込めた。

鈴木てんいちは途端に可哀想そうな目で杉本瑠璃を見つめ、「ひどいよ!本当に夜番させるの?」と言った。

杉本瑠璃は笑って、「夜番も悪くないでしょう。どうせ経験したことないんだから、今回は良い経験になるわ。」

冗談じゃない、どうして男子と一緒に寝られるわけがない!

彼女が同意しないのはもちろんだが、もし三島悠羽が知ったら、ふふ、その結果は面白いことになるだろう。

三島悠羽の性格なら、鈴木てんいちは間違いなく終わりだ!

そして終わるのは彼女自身で、三島悠羽の人を懲らしめる手段を考えると、杉本瑠璃は自分が罠にはまったような気分になった。

身の安全のために、このままの方が良さそうだ。

鈴木てんいちは杉本瑠璃の所では望みがないことを悟り、周りを見回して最後に斎藤きくこに視線を定めた。