杉本瑠璃は微笑んで、頷いた。「うん、私も99折の方が縁起がいいと思う」
鈴木てんいちは涙を流しながらも、割引があるのはないよりマシだと思った。彼が気にしているのは割引で節約できることではなく、割引が関係性を表すということだった。
少なくとも今は、彼と杉本瑠璃も付き合いのある間柄になったのだ。
「あなたたち、私にも分かる話をしてくれない?」斎藤きくこは長い間見ていて、ついに我慢できなくなった。
ただ宝石や翡翠、それにパラダイスについて話しているのは分かったが。
鈴木てんいちは遠慮なくきくこの額を軽く叩いた。「バカ!」
そして、パラダイスのことについて、きくこに説明した。
斎藤きくこは驚きのあまり震えた。特に杉本瑠璃が一つの翡翠を100億円で売り、もう一つを500億円で売ったと聞いた時、完全に呆然としてしまった。
以前、きくこは杉本瑠璃の家はそれなりに裕福だと思っていたが、こんなに裕福だとは想像もしていなかった!
一つの翡翠で数十億円というのは、ほとんどの人にとっては単なる数字のようなものだろう。
それがどれほどの金額なのか、想像すらできない。
鈴木てんいちは杉本瑠璃を見る目が、まさに崇拝の眼差しだった。「瑠璃、やっと分かったよ。なぜ君が経済学部を選んだのか。さすが経済の才能がある人だ!医学部を選ばなかったのは、絶対に正しい選択だったね!」
杉本瑠璃は微笑んで言った。「私、たった今決めたの。ダブルメジャーで医学部も専攻することにした」
ぷっ!
鈴木てんいちは自分が杉本瑠璃にやられたと感じた。
斎藤きくこはそれを聞いて、とても喜んだ。「蒼、本当に私たちの医学部に来るの?それは素晴らしいわ、私にも仲間ができた!」
斎藤きくこは非常に興奮していた。一緒に授業を受ける仲間がいれば、効果も上がる。
例えば、医学部には仲間が必要なことが多い。西洋医学は漢方のような個人プレーではなく、チームワークが重要だ。
そして杉本瑠璃が医学部も専攻することにしたのは、将来の科学研究室のための準備でもあった。
思えば実に皮肉なことだが、以前彼女が最も憎んでいたのは、両親を自殺に追い込んだ人々の他に、研究室だった。