第302章 威風堂々(6)

杉本瑠璃は微笑んで、頷いた。「うん、私も99折の方が縁起がいいと思う」

鈴木てんいちは涙を流しながらも、割引があるのはないよりマシだと思った。彼が気にしているのは割引で節約できることではなく、割引が関係性を表すということだった。

少なくとも今は、彼と杉本瑠璃も付き合いのある間柄になったのだ。

「あなたたち、私にも分かる話をしてくれない?」斎藤きくこは長い間見ていて、ついに我慢できなくなった。

ただ宝石や翡翠、それにパラダイスについて話しているのは分かったが。

鈴木てんいちは遠慮なくきくこの額を軽く叩いた。「バカ!」

そして、パラダイスのことについて、きくこに説明した。

斎藤きくこは驚きのあまり震えた。特に杉本瑠璃が一つの翡翠を100億円で売り、もう一つを500億円で売ったと聞いた時、完全に呆然としてしまった。

以前、きくこは杉本瑠璃の家はそれなりに裕福だと思っていたが、こんなに裕福だとは想像もしていなかった!

一つの翡翠で数十億円というのは、ほとんどの人にとっては単なる数字のようなものだろう。

それがどれほどの金額なのか、想像すらできない。

鈴木てんいちは杉本瑠璃を見る目が、まさに崇拝の眼差しだった。「瑠璃、やっと分かったよ。なぜ君が経済学部を選んだのか。さすが経済の才能がある人だ!医学部を選ばなかったのは、絶対に正しい選択だったね!」

杉本瑠璃は微笑んで言った。「私、たった今決めたの。ダブルメジャーで医学部も専攻することにした」

ぷっ!

鈴木てんいちは自分が杉本瑠璃にやられたと感じた。

斎藤きくこはそれを聞いて、とても喜んだ。「蒼、本当に私たちの医学部に来るの?それは素晴らしいわ、私にも仲間ができた!」

斎藤きくこは非常に興奮していた。一緒に授業を受ける仲間がいれば、効果も上がる。

例えば、医学部には仲間が必要なことが多い。西洋医学は漢方のような個人プレーではなく、チームワークが重要だ。

そして杉本瑠璃が医学部も専攻することにしたのは、将来の科学研究室のための準備でもあった。

思えば実に皮肉なことだが、以前彼女が最も憎んでいたのは、両親を自殺に追い込んだ人々の他に、研究室だった。