医学部には女子学生が少なく、特に杉本瑠璃のような女子は珍しかった。
紅葉学園の医学部に在籍している女子学生は、ほとんどが少し男っぽい性格をしていた。
杉本瑠璃は生まれつき美しく、男っぽさとは全く無縁だったが、実際にはとても強い心を持っていて、それは珍しいことだった。
「そういえば、なぜ医学部に来たの?経済学部が合わないと思って、もう一つの専攻を学びたいと思ったの?」
鈴木光男も、実は少し噂好きな性格だった。
最初は杉本瑠璃と親しくなかったため、クールな態度を取っていたが、彼女と少し話をしているうちに、本性が出てきた。
杉本瑠璃はそのような男子が嫌いではなかった。それに、彼女の目的は紅葉学園の医学部で良い人材を見つけ、将来に備えることだった。
だから、当然態度を良くして、少なくとも良好な関係を築いておかなければならなかった。後で引き抜きやすくするためにも。
「経済学は実際とても面白いんですけど、医学にも興味があって。以前医学部を選ばなかったのは、私が漢方医学を学んでいたからです。でも、体系的に医学を学ぶには漢方だけでは不十分だと気づきました。紅葉学園の医学部は、国内外で活躍する西洋医学の専門家を多く輩出していますから、私ももっと学びたいと思いました。」
杉本瑠璃は既に三島様の専属医師であるにもかかわらず、このように謙虚な態度を示した。彼女の言葉は鈴木光男の心地よい誇りを呼び起こし、彼女への印象は更に良くなった。
「その通りだ。我が医学部の卒業生は、みんなトップレベルの人物ばかりだ。今の医学部の学生たちだって、以前の先輩たちに劣らないくらいの実力がある。本当の実力者ばかりだよ!」
鈴木光男は自慢しているのではなく、事実を述べていた。
杉本瑠璃は興味を示した。「へぇ?その人たちについて、もっと詳しく聞かせてもらえませんか?」
鈴木光男はニヤッと笑って、ようやく到着した解剖実習室を指差しながら言った。「まずは授業を受けよう。今日のこの関門を乗り越えたら、後で話してあげるよ。」
杉本瑠璃が鈴木光男の指す方向を見ると、確かにそこには数体の遺体が置かれており、白い布で覆われていた。中には冷気を放っているものもあり、明らかに遺体保管用の冷凍庫から取り出したばかりのものだった。