第305章 威風堂々(9)

杉本瑠璃は六体目の遺体の前に歩み寄ると、すぐに血の臭いを感じ取った。

遺体は専用の冷蔵庫に保管されていたにもかかわらず、血の臭いがするということは、この遺体は...見た目があまり良くないことを意味していた。

杉本瑠璃が白い布に手をかけると、全員の視線が彼女の手に集中し、息を殺して次の瞬間を待った。

杉本瑠璃は予告もなく、素早く白い布を剥ぎ取った。

その瞬間、血まみれで肉がむき出しになった女性の遺体が全員の前に現れた。顔の形はもはや判別できず、交通事故で轢かれたため、頭部は押しつぶされて原形をとどめていなかった。

さらに、冷蔵庫から出されたため、凍っていた血や肉、白い脳漿などが徐々に溶け始めていた。

杉本瑠璃は心の準備をしていたものの、このような衝撃的な光景に驚いてしまった。しかし、表情には出さず、わずかに眉をひそめただけだった。