第308章 威風堂々(12)

「先生、これはどういうことですか?なぜ血が流れないのでしょうか?血液が完全に凝固しているからですか?」

先生が来るのを見て、すぐに学生が質問を投げかけた。

しかし先生は深刻な表情で首を振った。「違う。通常なら...血が流れるはずだ。」

えっ?

先生までそう言うの?じゃあ、一体なぜこうなっているの?

「じゃあ、なぜこうなっているんですか?」学生たちは好奇心に駆られた。

先生も眉をひそめ、しばらく観察し、杉本瑠璃の切開手法を確認してから、思わず息を呑んだ。

しかし、彼は杉本瑠璃の邪魔をせず、彼女が全て終えるのを待ってから話し始めた。

「杉本さん、以前専門的な訓練を受けていたのではないですか?」先生の口調が変わっていた。

「いいえ。私は以前、漢方医学を学んでいただけです。」

人はおろか、肉さえめったに切ることはなかった。

先生はそれを聞いて、さらに困惑した。「では、どうしてこんなに正確に切開位置を見つけることができたのですか?」

この位置は、誰でも見つけられるものではない。

法医学を何年も専門としている人でさえ、必ずしもこのような技能があるとは限らない。

杉本瑠璃はちらりと見て、少し口角を上げた。確かに彼女は正確な位置を見つけたようだ。

さもなければ、先ほどの一刀で、どれだけの血が流れ出たか分からない。飛び散っていたら、さらに気持ち悪かっただろう。

彼女はただできるだけ自分が気持ち悪くならないようにしただけだった。

これから数ヶ月間、ベジタリアンになることを恐れていたのだ。

西洋医学を学んだことはなく、メスを入れたこともない。しかし、研究室にいた時、専門家たちから聞いた話では、解剖時に血液が飛び散るのを避けたい場合は、胸腔の特定の位置、ちょうど中央の角度で切開すれば、血が流れ出ないと言われていた。

杉本瑠璃は試したことはなかったが、そのような説があることは知っていた。さらに漢方医学を学んでいたため、人体のツボに非常に詳しかった。だから先ほど切開する時、試してみようと思ったのだ。

それは先生にからかわれないためだった。

実は先生は知っていた。通常の場合、この一刀で必ず血液が飛び散るはずだと。

先ほど杉本瑠璃があまりにも冷静だったので、彼女を刺激してやろうと思った。この小さな思惑は、杉本瑠璃に見抜かれていた。