杉本瑠璃が帝国ホテルに戻ってきたばかりで、車を降りた後、少し躊躇した。
今日は遺体安置所から戻ったばかりで、しかもあれほど多くの遺体に近づいたため、自分でも体についた匂いに耐えられないほどだった。
潔癖症の三島悠羽ならなおさらだ。
でも、三島悠羽も医学部出身だったはず。誰かに嫌がらせをされたことがあるのだろうか。
きっと...ないだろう。
杉本瑠璃が入る前に、三島悠羽が出てきて、瑠璃が戻ってきたのを見て、彼女の方へ歩いてきた。
杉本瑠璃は思わず数歩後ずさりし、急いで手を上げて三島悠羽が近づくのを制止した。「近づかないで。」
三島悠羽は瑠璃の警戒する様子を見て、思わず苦笑いしながら足を止めた。
「帰ってきたばかりで、ゲームでもしたいの?別に構わないけど。」三島悠羽は腕を組んで、口角を少し上げた。