第334章 杉本グループ(18)

彼らは合計7人で、小さな個室を予約し、みんなで囲んで座るのにちょうど良い広さで、雰囲気も悪くなかった。

「きくちゃん、君が見つけたこの火鍋店はなかなかいいね、目が利くじゃないか」

鈴木てんいちは周りを見回しながら、お茶を一口飲んで言った。「おや?これは菊花茶か、ははは、きくちゃん、特別に用意してくれたの?意外と美味しいじゃないか!」

斎藤きくこは使っていない箸を鈴木てんいちに向かって投げつけた。鈴木てんいちは身のこなしが軽く、すぐに避けることができた。

「何するんだよ!殺人未遂か?もし不注意で俺の顔に傷がついたら、女子学生たちがどれだけ悲しむことか」

鈴木てんいちの話し方は、いつもこんな調子で、まじめな様子がない。

斎藤きくこは目を回して、「私は民衆のために害を除いているのよ。あなたの性格じゃ、将来どれだけの女性たちを苦しめることか」

「つまらないこと言うなよ、きくちゃん。僕は女の子にはいつも優しいんだよ。ほら見てごらん、君が僕にこんなに乱暴なのに、僕は相変わらず優しくしているでしょう」

斎藤きくこは深いため息をつき、桐生誠一は隣で聞いていられなくなった。「おい鈴木てんいち、まさか俺たちを気分悪くさせて、後で食べ物を独り占めする気じゃないだろうな?」

斎藤きくこは急に笑い出し、大いに同意して頷いた。「きっとそういうつもりね。でも安心して、今日は私がおごるから、好きなだけ食べて。わざわざ私を不快にさせなくていいわ」

今度は鈴木てんいちが目を回す番だった。「はぁ!君たち二人は本当に...お似合いだね!」

「鈴木てんいち、殴られたいの?」斎藤きくこは鈴木てんいちを睨みつけた。実は...斎藤きくこの心の中で、桐生誠一に対する感情は、他の人とは少し違っていた。

おそらく、以前桐生誠一が杉本瑠璃と一緒に彼女を助けてくれたからだろう。それに、桐生誠一は彼女にとって初めての親切な異性の友人だったので、斎藤きくこは桐生誠一に対して、言葉では表現できない、はっきりとは分からない感情を抱いていた。

そのわずかな感情だけでも、斎藤きくこの心を緊張させるのに十分で、杉本瑠璃も偶然に斎藤きくこの様子の変化に気づいて、心が動いた。

もしかして...斎藤きくこはずっと桐生誠一のことが好きだったの?