杉本瑠璃が帝国ホテルに戻ったとき、もう遅い時間で、午前0時近くでした。
案の定、三島悠羽はまだ寝ていませんでした。彼女を待っていたのです。
「先に寝てって言ったのに。今日は報告したでしょう」杉本瑠璃は急いで言い訳をしました。
三島悠羽は微笑み、その絶世の容姿に愛おしさが浮かびました。「賢くなったね。どうしようかな...小狐さんがますます賢くなってきて、老狐は特典をもらうのに新しい方法を考えないといけなくなったよ」
杉本瑠璃はにやりと笑って、「自分のことを老狐なんて呼んで、こんなに嬉しそうな人見たことないわ」
三島悠羽は全く気にせずに言いました。「こんな素敵な呼び方、なぜ嬉しくないわけがある?それに...」
三島悠羽は一旦言葉を切り、杉本瑠璃の期待を高めました。杉本瑠璃は仕方なく聞きました。「それに何?」
三島悠羽は目を細め、自分の赤い唇を指さしました。言葉を使わなくても、杉本瑠璃は彼が何を求めているのか分かりました。
どうせキスしたことがあるのだから、杉本瑠璃は大胆にキスをしました。ただし軽く一回だけで、キスをしたらすぐに離れました。
彼女は本当に賢くなっていて、三島悠羽の罠に落ちないようにしていました。
三島悠羽は杉本瑠璃が早く学習したことに少し不満でしたが、奥さまが自ら進んでキスをしてくれたので、満足していました。
「それに、私は自分のことをよく分かっているから、あなたがつけてくれたこの称号を喜んで受け入れるよ」
三島悠羽は軽く唇を上げ、とても颯爽と笑いました。
三島悠羽の前で彼のことを老狐と呼ぶ勇気のある人はいません。おそらく彼の前で老狐と呼べるのは、杉本瑠璃だけでしょう。
この呼び方を初めて聞いたとき、三島悠羽は心の中で大いに賛同し、杉本瑠璃がつけたニックネームを楽しんでいました。
杉本瑠璃は笑いが止まらず、メクラさんから受け取った針穴カメラを化粧台の上に置きました。
三島悠羽は一目見ただけで、それが何かわかりました。
「奥さま、まさか...盗撮したいという過激な趣味でも?」三島悠羽は針穴カメラを指さしました。
杉本瑠璃は三島悠羽を睨みつけました。彼女がいつ過激になったというのでしょう?明らかに彼の方が過激なのに!