第353章 杉本グループ(37)

その後、杉本瑠璃と羽田和彦はしばらく話をして、帰る準備をした。

「もういいよ。引き止めないから。君の友達たちは心配で気が気じゃないみたいだし、今も下で待ってるから、会ってきたら?」

羽田和彦は斎藤きくこを見かけて初めて、杉本瑠璃の身に起きたことを知った。彼が駆けつけたのは偶然ではなく、意図的なものだった。

ただ、彼が予想していなかったのは、自分が手を下す必要もなく、杉本瑠璃が自力で解決できたということだった。

どうやら杉本瑠璃が今日水瀬英明についてきたのも、水瀬英明を罠にはめるためだったようだ。

水瀬英明は一億円も騙し取られて、しばらくは立ち直れないだろう。

杉本瑠璃は余計な話はせずに立ち去り、階下で友人たちに状況を説明すると、彼らは杉本瑠璃が無事なのを確認して、やっと安心した。