第369章 私は道場破りに来ました!(13)

「敏感?ふふ、奥様は本当に言葉巧みですね。水瀬家のお嬢様が私の目の前で、自分こそが三島家の女主人だと言ったのに、それを敏感だと思われますか?」

杉本瑠璃の声は大きくも小さくもなかったが、ほぼ全員に聞こえていた。

水瀬霧乃の言葉よりも、彼らは杉本瑠璃の言葉の方を信じていた。

結局のところ、水瀬家は常々水瀬霧乃と三島家が縁組みすると言っていたのに、今日になって三島悠羽が既に他人と結婚していたことが判明し、この水瀬霧乃は納得がいかず、杉本瑠璃に難癖をつけたのだろう。

そう考えると、むしろ筋が通る。

しかし、これは三島家と水瀬家の問題であり、彼らが介入するのは確かに適切ではない。

「あの令嬢たちについては、無知で利用されただけなので、私は不問に付します。しかし水瀬霧乃は、水瀬家と三島家は親戚同然なのに、率先して私を陰で誹謗中傷し、私の名誉を汚しました。その意図は何なのか、皆さん賢明な方々ですから、私が指摘するまでもないでしょう?もし彼女が私に不満があるなら、直接私に言えばいい。令嬢たちを巻き込む必要はありません。」

水瀬玲奈は矛先を彼女と令嬢たちに向けようとしているのか?

ふふ、どうして水瀬玲奈の思い通りにさせられようか。当然、矛先を戻さなければならない。

案の定、杉本瑠璃のこの一言で、令嬢たちは一瞬怔んだ。少し考えると、一人一人の目が沈んでいった。

この界隈で生きている人々だけに、杉本瑠璃に指摘されて、自分たちが利用されていたことに気付いたようだ。

しかし相手が水瀬家の人間なので、何も言えず、ただ黙り込み、もう水瀬霧乃を助けることもしなかった。

水瀬玲奈は眉をひそめた。今この瞬間、皆が何も言わなくても、この件の発端は水瀬霧乃が他人を扇動して杉本瑠璃の悪口を言わせ、それを杉本瑠璃が聞いてしまったと認定されているのは分かっていた。

名家、この上流社会で最も嫌われるのがこういう行為だ。このような陰湿な行為をする者は、名家から軽蔑されることになる。

「杉本さんは誤解されているのではないでしょうか。私たちは今まで何も言っていません。ただの雑談で、あなたの陰口など叩いていません。いい加減な罪をなすりつけないでください!」