何の前触れもなく、エレベーターのドアが開いた。
杉本瑠璃は胸が締め付けられるような感覚を覚え、何かに掴まれているかのように、呼吸が少し困難になった。
これは死からの後遺症だと彼女は知っていた。克服できるものの、適応するには時間が必要だった。
清水翔太が先にエレベーターを出て、ドア前に立ち、杉本瑠璃を待った。
杉本瑠璃は目の前の冷たい雰囲気を漂わせる白い研究室を見て、既視感を覚えた。
どうやら、ほとんどの研究室は似たような造りをしているようだった。
杉本瑠璃は深く息を吸い、呼吸を整えてから、確固たる眼差しでエレベーターを出た。
エレベーターのドアが閉まり、彼女は再び研究室に来ていた。
ただし今回は、彼女の立場が違っていた。
もはや被験者ではなく、医師として。
思えば、杉本瑠璃には可笑しく思えた。人生は予測不能で、まさか立場を変えて再び研究室に入ることになるとは。
ここの仕切りはすべてガラス製で、中の研究者たちは秩序正しく作業を行っていた。
杉本瑠璃の到来は、彼らに何の影響も与えなかったようで、彼らは依然として整然と自分の仕事を続けていた。むしろ、誰が来たのかを確認するために顔を上げる者さえいなかった。
ここのすべてが、杉本瑠璃にとってはとても馴染み深く、研究員たちも確かにこんな調子だった。
かつて彼女はこのような研究員を数多く見てきた。彼らは自分の研究成果にしか興味を示さなかった。
それ以外は...彼らの注意を引くことはできなかった。
杉本瑠璃はさっと一瞥しただけで、清水翔太の後を追った。
今度は清水翔太が驚く番だった。
彼には理解できなかった。先ほどまで杉本瑠璃はここに来る前、どこに行くのか非常に好奇心を示していた。
普通なら、普通の人がここに来れば、驚きに満ち、目には疑問が溢れ、とっくにここが何処なのか尋ねているはずだった。
しかし杉本瑠璃は正反対で、来る前は少し疑問を抱いていた。
だがここに来てからは、最初に少し上の空になっただけで、その後の表情は非常に落ち着いていた。
まるでここが彼女にとって、驚くに値しないかのようだった。
もしかして...杉本瑠璃は以前このような研究室に来たことがあるのだろうか?
それはありえないだろう、三島様からそのような話は聞いていない。おそらく自分が考えすぎているのだろう。