第405章 新しい世界に入る(15)

「あの時のことだったのね……」

杉本瑠璃は斎藤きくこがこのことに触れるのを聞いて、誰がやったのかだいたい分かった。

二人は普通の声で話していて、声を潜めていなかったので、周りの人たちも杉本瑠璃と斎藤きくこが何を言っているのか聞こえていた。

「つまり……もし斎藤きくこが新聞に載ったあの時にカミングアウトしたというなら、私も……カミングアウトしたことになるのかな?あ、そうだ、あの時は確か鈴木てんいち、高橋智樹、風間海斗たちもいたよね。あなたたちの論理でいけば、彼らも一緒にカミングアウトしたことになるね。どう思う……?」

杉本瑠璃はまた別の学生を指さした。指された学生は顔色が悪くなり、「そ、そんなはずがありません!」

鈴木てんいちたちがどういう身分なのか、学校では知っている人もいる。彼らがカミングアウトするなんてあり得ない!