007中村家、入学_3

木村翼が去ると、木村浩は視線を戻し、カメラとマイクを再び開いた。彼は軽く机を叩き、冷静かつ冷淡に「続けて」と言った。

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翌日、陽城中学校。

陽城市最大の高校で、白川華怜は安藤秀秋の後ろについてある事務室に向かった。

事務室で、奥田幸香は眼鏡をかけ、短髪で、隠しきれない白髪が目立っていた。白川華怜を優しい目で見つめながら「白川くん、先生に理系に転科したい理由を教えてくれる?」

なぜ理系に?

白川華怜は目を伏せ、長くて上向きのまつ毛が暗い瞳を隠していた。最初は歴史を見たくないだけだったが、今は……

「好奇心です」と静かに答えた。

「好奇心?」奥田幸香は予想外の答えに驚いた。

「はい」白川華怜は隣の机のパソコンを見つめながら「例えば、パソコンがどうやって情報を伝達するのか知りたいんです」

彼女の黒い瞳には窓の外からの太陽光が映り、まるで怠そうな白猫のようだった。

時は移り、この世界に来た時の不安や戸惑いがどれほどあったとしても。

彼女はこの時代を積極的に探求していた。否定できないが、今は彼女はこの時代に強い好奇心を抱いていた。

安藤秀秋は初めて白川華怜からこの理由を聞いた。思わず顔を向け、姪の真面目な表情を見つめた。

少し沈黙した後、前回の彼女の答えを思い出した。ああ——

それで?

ふん、適当な返事だったのか?

「いいわ」奥田幸香は静かに白川華怜を見つめ、彼女の真剣さを感じ取った。「理系総合の問題を一通り解いてみてくれる?」

机の上から理系総合の問題用紙を取り出した。

白川華怜は20分で問題を解き終え、奥田幸香に返した。

奥田幸香は国語教師で、問題用紙を受け取ると、同じ事務室の物理教師に渡して採点を依頼した。

そして優しく白川華怜に「さあ、クラスに案内するわ。高校三年生は全部で20クラスあって、私たちは15組よ」と言った。

安藤秀秋も一緒についていった。

高校三年生は独立した校舎で、上から下まで5階建て、各階に4クラス、2つの階段、中央に事務室があった。

奥田先生の事務室は2階で、15組は3階の中央にあった。

階段を上がる途中、2階で制服を着た女子生徒が作文ノートを抱えて上がってきた。「奥田先生」

「中村くん」奥田幸香は眼鏡を直しながら立ち止まり、優しい声で「宿題は私の机の上に置いておいて。後で話があるから待っていて」

「はい」中村優香は顔を上げ、安藤秀秋に目が留まった。

彼女は安藤秀秋に会ったことは数回しかなかったが、父親に似ているので分かった。

しかし今、彼女の注意は安藤秀秋の隣にいる人物に向けられていた——

彼女だ、白川華怜。

中村優香は一瞬驚き、多くのことを考えた。本当にこの学校に転校してきたの?

安藤家は中村家のことを彼女に話したのだろうか?

安藤秀秋は中村優香を見て、彼女の目つきから何を考えているか分かった。落ち着いて視線を逸らした。

以前は中村優香にとても優しかった。一度、安藤智秋に頼み事があって、苦労して中村家の門をくぐった。

そして中村家のゴミ箱で、彼が中村優香にあげた絵を見つけた。

それ以来、二度と中村家には行かなかった。

奥田幸香は白川華怜と安藤秀秋に説明しながら感心して「あれは中村優香よ。本当に、本当に賢い子で、中学校で2年飛び級したの。白川くん、学校に2日もいれば彼女のことが分かるわ。機会があれば勉強方法を教えてもらうといいわ」

中村優香は安藤秀秋に関心を示さず、奥田幸香に微笑んで視線を戻し、事務室に向かった。

宿題を机の上に置くと、机の上にある理系総合の試験用紙が目に入った。