009月光を独り占め、黒水通り_2

明石真治が車を走らせ、木村翼は車の窓から白川華怜を見つめていた。

木村浩は指先で携帯の画面を軽くタップしながら、夜の闇の中で眉目に薄い霜が降りたかのように冷たい表情を浮かべ、しばらくして画面を点灯させメッセージを送信した——

【物置から私の物理のノートを探し出して。】

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駄菓子屋。

巡査が二人来て水を二本買い、店主と世間話をするように話をしていた。

店主は訳が分からないまま答えていた。

白川華怜は今日外出前に店主に電線を何本か頼んでおり、店主は電線を渡し、さらにキャンディを一本渡して、QRコードを隠して支払いを拒んだ：「早く帰りなさい、もう暗くなったから。」

「はい。」白川華怜は電線を仕舞った。

巡査も何も聞き出せず、引き上げていった。二人の巡査が去ると、近所の人が寄ってきた：「何かしたの？向こう岸で何か盗んだの？なんで警察があなたを見張ってるの。」

「でも私は善良な市民ですよ、」店主は非常に困惑した様子で口を開いた。自分でも不思議に思っていた。「私は何もしてないと思うんですけど。」

白川華怜はキャンディをくわえ、美しい瞳を伏せ、無邪気な表情で路地の奥へと歩いていった。

路地の入り口に来たところで、そこで待っていた老人を見かけた。

安藤宗次だった。

白川華怜は一瞬驚いた。彼女は足を速めた。

安藤宗次は懐中電灯を持っており、彼女を見かけると点灯し、暗い路地を照らしながら彼女を家まで案内した。「勉強は焦らなくていい、ゆっくりやればいい。」

清水通りには街灯があったが、中の路地にはなかった。

時折、住人の家から漏れる黄色い明かりだけだった。

「嫌です。」白川華怜はイヤホンを取り出し、英単語を聞こうとして、この提案を拒否した。

安藤宗次：「……」

彼は白川華怜が自分の懐中電灯を見つめているのに気づき、警戒して：「……これは分解しちゃダメだよ。」

白川華怜は目をそらしながら：「私がそんな人だと思いますか。」

「でも私は朝起きたら扇風機の死体を見たんだよ。」安藤宗次は容赦なく彼女の嘘を暴いた。

「それはあなたの見るタイミングが悪かっただけです。信じられないなら二、三日後にもう一度見てください。」白川華怜は強情を張った。

**

その頃。

陽城市唯一の洋館街、中村家。

中村修はいつものように中村優香の学業について尋ね、さらに高橋謙治の件について説明した：「高橋博士からはまだ返事がない。学校の方は頑張って。」

中村優香は頷いた。普段なら、これで帰るところだった。

今日は彼女は少し躊躇していた。

「どうした？」中村修は不思議そうだった。

「父の家のことなんですが……」中村優香は白川華怜のことを中村修に話した。

中村修は最後まで聞くと、手元の書類を置いて、「文系から理系？」

中村優香はあまり気にしていない様子で、相手の理科総合が85点だったことを思い出し、首を振った：「理科総合85点で、なぜ理系に行きたいのか分かりません。父が私に教えるように言ってきて。」

「彼の言うことは聞くな。ここ数年ますます分別がつかなくなってきている。」中村修は表情を冷たくした。彼は中村優香の学業を重視しており、今回の理科総合で彼女が300点満点を取ったことを当然知っていた。「お前の学業がどれだけ重要か、彼には分かっていないんだ。」

この白川華怜については、まだ会ったことはなかったが、すでに良くない印象を持っていた。

若者はやはり着実で慎重であることが重要だ。

中村優香は急いで中村修の肩をもみ始めた。「怒らないでください。父も悪気があってやったわけではありません。ご存知の通り、父は研究一筋で、私が何歳になったかも覚えていないくらいです。」

安藤家はこれまで何年も中村家を頼って騒ぎを起こすようなことはなかった。

ただ中村修は安藤家のことにはあまり関心がなく、少し落ち着いて中村優香に注意した：「分かった。安藤家のことは関わるな。お前の父は頭が混乱している。お前は何が一番重要か分かっているはずだ。来年は大学入試だ。他のことに気を取られるな。」

中村優香が出て行った後、秘書長がようやく口を開いた：「来年の大学入試では、そろそろ陽城市から首席が出てもいいころでしょう。優香さんにはチャンスがありますね。」

「彼女の学年は競争が激しすぎる。陽城市の田中家の子供一人だけでも競争は難しい。」中村修は内情を少し知っていた。彼は首を振り、「北区の首席はおろか、陽城市の首席を取れるかどうかだ。」

彼らの目には、最大の目標は北区の首席くらいだった。

全国首席に関しては、誰も考えていなかった。

どの年も全国首席は江渡から出ているではないか？

他の地域から出るはずがない。

「これは白虎オークションの一週間後の出品リストです。」秘書長は本題を思い出した。「今回は本田徳厚の真筆があります。」

これを聞いて、中村修は急いで手を伸ばして受け取った。「本田徳厚の真筆？」

梁体字は最も人気のある書体の一つで、一般人に好まれているだけでなく、各名家や文豪たちからも特に推奨されていた。そのため中村修は幼い頃から中村優香に梁体字を学ばせていた。

明らかに、中村優香のこの一手は非常に成功していた。幼い頃から現在まで、彼女はこの梁体字の腕前のおかげで多くの人々の好感を得ていた。

本田徳厚の真筆は非常に少なく、外部に知られている真筆の一点は江渡の田中家の私設博物館にあった。