教室に座っている生徒たちは皆、真剣な様子だった。
八組の担任はようやく録画を再生し始めた。
同じ列に座っている田中駆と中村優香は互いに目を合わせ、その瞳の奥に野心が見え隠れしていた。
白川華怜は真面目に席に座っていた。今日の授業内容は電磁気学から光学と力学に移り、一時間の授業は偏光と一軸性結晶について、さらにホイヘンスの原理と分散についても触れていた。
白川華怜は全てメモを取っていたが、理解は早かったものの、多くの公式が分からなかった。
まだ分散曲線を学んでいなかったからだ。
授業は難しく、全員が真剣に聞いていた。
七時半、動画が終わり、多くの生徒が今日の動画をコピーしに行った。八組の担任は今日の課題を配り始めた。
白川華怜は問題を見た。一ページ全体が光学結晶に関する内容だった。
分散曲線の方程式はまだ学んでいないので、いつものように問題を片付けた。
机の上に置いてある携帯に二つのメッセージが表示された。
彼女の携帯には連絡先が少なく、開いて確認した。
木村先生:【答えは彼らに教えてないよね?】
白川華怜:【はい】
木村先生:【夜に彼らを連れてきて、問題を解説するから】
白川華怜は木村浩のこのメッセージを見て、少し意外に思った。
右側では、田中駆と中村優香が珍しく残らず、二人は目を合わせてから荷物をまとめて講堂を出て行った。
岩田良絵も問題に頭を悩ませていた。彼女は早くから田中駆のグループを注目していた。
今日彼らがこんなに早く帰るのを見て、空沢康利の腕をつついて、「きっとまた平安苑に行くんでしょ」と言った。
空沢康利は今日の問題と格闘中で、それを聞いて顔を上げた。「かもね。中村優香も田中駆も金持ちの家だし」
中村優香と田中駆たちの姿が見えなくなってから、岩田良絵はようやく視線を戻し、白川華怜が先生の配った課題を片付けるのを見た。彼女は興味を失ったように視線を逸らした。
白川華怜の行動は全く意外ではなかった。この問題は自分でも解くのが難しいのだから、白川華怜にはなおさらだろう。
「そうだ」講堂は少し暑く、白川華怜は学校の制服の上着を脱ぎ、白地に墨色の竹の葉が刺繍された天絹の七分袖を着ていた。ゆっくりとボールペンのキャップを外しながら、「今夜時間ある?前回渡した問題について、説明したいんだけど」