022 彼女と家ごっこをする時間なんてない_3

教室に座っている生徒たちは皆、真剣な様子だった。

八組の担任はようやく録画を再生し始めた。

同じ列に座っている田中駆と中村優香は互いに目を合わせ、その瞳の奥に野心が見え隠れしていた。

白川華怜は真面目に席に座っていた。今日の授業内容は電磁気学から光学と力学に移り、一時間の授業は偏光と一軸性結晶について、さらにホイヘンスの原理と分散についても触れていた。

白川華怜は全てメモを取っていたが、理解は早かったものの、多くの公式が分からなかった。

まだ分散曲線を学んでいなかったからだ。

授業は難しく、全員が真剣に聞いていた。

七時半、動画が終わり、多くの生徒が今日の動画をコピーしに行った。八組の担任は今日の課題を配り始めた。

白川華怜は問題を見た。一ページ全体が光学結晶に関する内容だった。

分散曲線の方程式はまだ学んでいないので、いつものように問題を片付けた。

机の上に置いてある携帯に二つのメッセージが表示された。

彼女の携帯には連絡先が少なく、開いて確認した。

木村先生:【答えは彼らに教えてないよね?】

白川華怜:【はい】

木村先生:【夜に彼らを連れてきて、問題を解説するから】

白川華怜は木村浩のこのメッセージを見て、少し意外に思った。

右側では、田中駆と中村優香が珍しく残らず、二人は目を合わせてから荷物をまとめて講堂を出て行った。

岩田良絵も問題に頭を悩ませていた。彼女は早くから田中駆のグループを注目していた。

今日彼らがこんなに早く帰るのを見て、空沢康利の腕をつついて、「きっとまた平安苑に行くんでしょ」と言った。

空沢康利は今日の問題と格闘中で、それを聞いて顔を上げた。「かもね。中村優香も田中駆も金持ちの家だし」

中村優香と田中駆たちの姿が見えなくなってから、岩田良絵はようやく視線を戻し、白川華怜が先生の配った課題を片付けるのを見た。彼女は興味を失ったように視線を逸らした。

白川華怜の行動は全く意外ではなかった。この問題は自分でも解くのが難しいのだから、白川華怜にはなおさらだろう。

「そうだ」講堂は少し暑く、白川華怜は学校の制服の上着を脱ぎ、白地に墨色の竹の葉が刺繍された天絹の七分袖を着ていた。ゆっくりとボールペンのキャップを外しながら、「今夜時間ある?前回渡した問題について、説明したいんだけど」