八時。
講堂では他の生徒たちがぐずぐずと荷物をまとめ始め、憂鬱そうな表情で退室していく。明らかに、今日残された問題は難しすぎて、三十分では最初の小問の図を描くことさえできなかったようだ。
畑野景明は時間になるとすぐに荷物をまとめ、振り返って白川華怜を見た。
白川華怜は木村浩のノートから分散曲線を見つけ、最小偏向角を理解していた。
ゆっくりとペンのキャップ、本、ノートを一つずつ整理していく。
畑野景明は顔を伏せ、蒼白い指が少し動き、彼女の荷物をすぐにでも整理してあげたい衝動に駆られているようだった。
二人が前後して出て行くと、空沢康利もその問題から顔を上げた。彼は散らかった荷物を急いでまとめながら、少し声を高めて言った。「二人とも先に行って、すぐ追いつくから。」
隣では、岩田良絵もその問題を理解できていなかった。