017 暴躁な木村坊ちゃま、普通の高校3年生

中村家は陽城市で半ば天下を取っているような存在だったが、若い警官も怯まなかった。

中村優香たちの高慢な態度と、白川華怜が虐められながらも勉強を忘れない様子を見比べると、弱者に味方するのに一秒とかからなかった。

しかし、その数文字は中村優香の頭を強く打ちのめした。

まず「五十万」、そして「VIP招待状」。その言葉に事務室にいた全員が呆然とした。

奥田幸香はほっと胸をなで下ろし、ゆっくりと腰を下ろした。「つまり警官さん、私の生徒は無関係ということですね？」

「もちろんです」

「そんなはずがない！」中村優香は全く信じられなかった。

白川華怜は彼女の目には、安藤家のどこかの親戚で、高校三年で陽城市に転校してきた目的も明らかで、何十年も開発されていない路地裏に安藤宗次と住んでいる。

招待状どころか、黒水通りがどこにあるかも知らないはずだ。

傍らの田中駆は警官から招待状を受け取り、細かく確認した。

実際、通常の招待状とVIP招待状には大きな違いがあり、中村家が購入した招待状は中村優香と田中駆が何度も見ているため、その違いはすぐに分かった。

田中駆は中村優香を見て、「これは彼女のものだ。あなたのとは違う」と言った。

「よく分かりましたね？」警官は田中駆から招待状を取り戻し、「これは他人の物ですからね」

そして招待状を奥田幸香に返した。彼は奥田幸香がさっきの女子生徒の担任だと覚えていた。

中村優香は唇を噛んで、どこから話せばいいのか分からず、混乱して「じゃあ、私の招待状は？」と言った。

警官は黙って、彼女の隣にいる時戸綾音を見た。

中村優香の隣で、警官が白川華怜の招待状を取り出した時から、時戸綾音は様子がおかしくなっていた。

あの招待状は、確かに彼女が白川華怜のカバンに入れたはずなのに。

どうして白川華怜のものになっているの？

じゃあ、彼女が入れた招待状は？

「中村さん」警官は何と言っても玄人で、異常殺人犯にも記憶回復術を使えるような彼らにとって、時戸綾音のような心理的に未熟な学生は一目で見抜けた。「外のクラスの人は置いておいて、この生徒さんはあなたの友達ですか？」

時戸綾音は彼に見られ、顔色を失って地面に崩れ落ちた。

中村優香は下を向いて、時戸綾音を睨みつけた。