031 平常点の発表

白川華怜は真剣に勉強していて、何かを失うことなど気にしていなかった。

しかし彼らは、空沢康利が何気なく開いていた本を目にしてしまった。

昨夜は白川華怜が問題を解説し、空沢康利は分からないところを彼女に尋ねた。この問題はすぐに理解でき、江渡大学の物理の本を読む時間があった。その本の半分は光学、電磁気学、運動学の定理の総合的な解析だった。

残りの半分は実験室での実験原理と成果だった。

空沢康利は畑野景明ほど余裕がなさそうで、数ページめくった後で畑野景明に返し、眉をひそめて言った。「今は読まない。後でお前のノートを見せてもらうよ。」

畑野景明は本を受け取った。

中村優香のグループは、二人が気軽に本をやり取りするのを目の当たりにして、羨ましくないはずがなかった。

「あの二人、こんな貴重な本を軽々しく扱うなんて」グループのメンバーは、もはや白川華怜が何を逃したかについて語ることもなく、複雑な思いを抱えながら言った。「もし私のものだったら、毎日大切に読むのに。」

決して白川華怜たちのように適当に扱ったりはしない。

中村優香は田中駆と一緒に部屋を出た。

「あの人たち、後半の実験がどれだけ重要か分かってないのかな...」別のメンバーが小声で言った。

「牛に真珠だわ」中村優香は唇を引き締めた。

白川華怜は何を考えているの?

自分で読まないで他人に気軽に渡すくせに、中村家には売ろうとしないなんて?

8時。

白川華怜たち3人はいつも通り一緒に帰った。

彼らが去った後、他のメンバーは白川華怜の席の方を見た。

彼らも白川華怜が何を持っているか知っていたが、明らかに中村優香は白川華怜に敵意を持っていた。特進クラスの生徒たちは学校で有名で、白川華怜と親しくなりたくても、表立ってそうすることはできなかった。

特に...

最初は彼らも白川華怜に敵意を持っていたし、白川華怜も近づきやすい性格には見えなかった。

彼らにはそういう理由があったが、岩田良絵は明らかに白川華怜と同じグループだった。「良絵、どうしたの?同じグループじゃないの?」

岩田良絵は笑顔を引きつらせた。

彼女は白川華怜がこの本を持っているとは知らなかった。

もし早く知っていれば、あの放課後のグループ討論の時、白川華怜を助けることになると分かっていても断らなかっただろう。