032本当に枠を私にくれるの?

全員の視線が無意識のうちに中村優香と田中駆に向けられた。

階段教室内で、先ほどまで賑やかだった雰囲気が一瞬で凍りついた。

8組の担任はそのまま続けて点数を読み上げた。「空沢康利155点、中村優香154点、大山聡128点……」

田中駆の点数が畑野景明と白川華怜より低いだけでなく、中村優香の点数は空沢康利よりも低かった。

畑野景明と白川華怜はさておき、空沢康利は補習クラスでも中位程度の成績なのに、どうしてこんな高得点が取れたのか?

その場の雰囲気は非常に異様だった。

全ての点数を読み終えると。

中村優香のグループの生徒が手を挙げ、躊躇いながら質問した。「先生、なぜ畑野景明と白川華怜の評価が田中駆より高いのですか?」

これは彼だけの疑問ではなく、その場にいる全員の疑問でもあった。

中村優香は控えめな性格ではなく、ほとんどの人が彼らには江渡大学の博士が放課後の問題を指導していることを知っていた。