024木村坊ちゃまのシュレディンガーの気分と物理の本_2

「先生」岩田良絵はバッグを持ち、元気なく先生に答えた。「寮のお湯が早く止まるので、先に戻って髪を洗いたいんです。それに、寮で勉強しても同じですから、畑野君と白川さんに先に話し合ってもらいましょう」

「そうですか」8組の担任は少し黙ってから、頷いて言った。「岩田くんはもう少し群れることを覚えた方がいいと思いますよ」

岩田良絵は適当に「分かりました、先生」と答えた。

そう言って、その場を去った。

8組の担任は彼女の去っていく後ろ姿を見つめた。岩田良絵は白川華怜とペアだったが、今になって彼は岩田良絵が答えを持っていなかった理由が分かった。

教師として教え導くべきことは全てやった。

人生の道は彼ら自身で歩まなければならない。

大学入試は全国との競争であり、この学校の生徒との競争ではない。学年部が一致してこの相互支援グループを決めたのは、この特別講習だけでなく、もっと遠くまで進んでほしいからだ。

中村優香が公平を望むなら……

それぞれの実力を見せてもらおう。

**

「運動量は保存されなければならないので、倍周波の屈折率と基本周波数は一致しなければなりません。同じ光束の場合、同じ屈折率を持つことは不可能です……」木村浩は長身を椅子に寄りかけ、片手をキーボードに置いたまま、薄い色の瞳を細めて、とても近寄りがたい雰囲気を醸し出していた。

骨の髄まで染み付いた気品を漂わせながら、落ち着いた口調でゆっくりと説明した。「分かりましたか?」

白川華怜は理解した。今夜も光学の問題を解説していた。二つのビデオ講義を見て、木村浩の説明を聞き、ノートの例題を見ると、全て理解すれば昨夜の問題とさほど変わらなかった。

問題は昨夜より難しかった。

木村浩の説明は速かった。

白川華怜が頷こうとした時、無意識に向かい側を見た。

畑野景明はノートを取る手を止め、知識のポイントを一つ聞き逃していた。

空沢康利は「……」

彼は……多くのポイントを聞き逃していた。

白川華怜は怠そうにペンを取り、細い指でノートに整然とした文字を書き、腕に顎を乗せて「木村先生、もう一度説明してください」

木村浩は向かい側の二人を冷たく一瞥し、感情のない声で繰り返した。

畑野景明はようやくノートを閉じ、ほっと息をついた。

空沢康利はびくともせずにいた。

彼はまだ少し足りなかった。