「先生」岩田良絵はバッグを持ち、元気なく先生に答えた。「寮のお湯が早く止まるので、先に戻って髪を洗いたいんです。それに、寮で勉強しても同じですから、畑野君と白川さんに先に話し合ってもらいましょう」
「そうですか」8組の担任は少し黙ってから、頷いて言った。「岩田くんはもう少し群れることを覚えた方がいいと思いますよ」
岩田良絵は適当に「分かりました、先生」と答えた。
そう言って、その場を去った。
8組の担任は彼女の去っていく後ろ姿を見つめた。岩田良絵は白川華怜とペアだったが、今になって彼は岩田良絵が答えを持っていなかった理由が分かった。
教師として教え導くべきことは全てやった。
人生の道は彼ら自身で歩まなければならない。
大学入試は全国との競争であり、この学校の生徒との競争ではない。学年部が一致してこの相互支援グループを決めたのは、この特別講習だけでなく、もっと遠くまで進んでほしいからだ。