田中局長は複数の感嘆符を使って自分の驚きを表現した。
明石真治はこの分野の専門家ではなく、人生で最大の挑戦といえば天体物理学を少し学んだことくらいだが、田中局長の言わんとすることは理解できた。「そんなに希少なんですか?」
「イリジウムは今、そんなに高価に見えないかもしれないが」田中局長は首を振った。「海外に行って鉱山所有者と交渉しても手に入らないんだ。品薄で値が吊り上がるってわかるだろう?」
世界中でイリジウムが不足しており、その生産量は特に低い。
国内では現在、イリジウムを節約するため、リサイクルを強化している。
田中局長の前回の任務はF大陸でイリジウムの取引交渉だったが、十分な資金を持っていたにもかかわらず、鉱山所有者にさえ会えず、国内向けの調達に失敗した。