中村優香は黙っていた。
中村修はその場に立ち止まり、彼女をしばらく見つめた後、携帯を取り出し、冷たい表情で校長に電話をかけようとした。
キー音を聞いた中村優香は急いで立ち上がり、中村修の携帯を奪い取って、電話を切った。
中村修は携帯を取り返そうとせず、ただその場に立ってじっと彼女を見つめていた。
校長からすぐに折り返しの電話がかかってきたが、二人とも無視した。
祖父と孫は5分間にらみ合い、中村優香がようやく口を開いた。「私と田中駆は枠を獲得できなかった」
中村修の驚きは中村優香に劣らなかった。この枠のために中村家がどれだけの労力を費やしたことか。彼と田中家はこの二つの枠を必ず手に入れるつもりだった。
今、中村優香は二人とも枠を獲得できなかったと言っているのか?
彼がさらに尋ねようとしたが、中村優香は一言も言わず、携帯を返して彼を部屋の外に追い出し、再び部屋に鍵をかけた。