木村翼は「ああ」と声を出し、また座り直した。
白川華怜は宮山小町の方を見たが、まだ何も言わないうちに、宮山小町は彼女に「OK」のジェスチャーを送り、安心させようとした。
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ドアの外。
伊藤満は二人の部下、吾郎となながいて、三人は黙って入り口にしゃがみ込んでいた。
「伊藤さん」吾郎は頭を掻きながら、「こんな場所は俺たち二人には向いてないと思います。ななの方が向いてるでしょう」
ななは幼い顔立ちで、十五、六歳くらいにしか見えなかった。
髪は短く、染めたこともなければ、変な髪型にもしていなかった。
伊藤満の後ろについていなければ、清楚な男子高校生にしか見えなかっただろう。
伊藤満はタバコを咥えたまま、特に反論はしなかった。
話している最中に、白川華怜が中から出てきて、伊藤満たち三人は即座に立ち上がった。