054帝師、白川華怜の真の実力_2

紙には四文字だけが書かれていた——

【蔹蔓帝家】

それは彼女が初めて自己紹介したときの言葉だった。

普通の黒ペンで書かれているにもかかわらず、一文字一文字が紙の裏まで染み通るほど力強く、その筆致には生命力が漲り、文字の一つ一つに筋骨が浮き出ており、紙を通してでも千軍万馬が駆け抜けるような勢いを感じることができた。

このような壮大な意味を込めた文字を書くには、一体どれほどの経験が必要なのだろうか?

前回、田中局長が来たときは中村優香の字にあまり満足していなかった。

当時の校長にはその理由が分からなかったが、今になってようやく、なぜ田中局長が中村優香の字を気に入らなかったのかが少し理解できた。

より優れたものを見ていたからだ。

中村優香の字には確かに、実戦経験による磨きが足りなかった。