054帝師、白川華怜の真の実力_3

彼女の話す相手は理解できずに通訳を探そうとしていたが、このランスは彼女の反応速度から英語ができることを見抜いていた。

ランスは尋ねた:【Can you speak English?】

白川華怜:【できません】

白川華怜は携帯を閉じたが、表情は落ち着いていた。

確かに彼女は少し外国語ができた。他の言語を理解して研究する必要があったからだ。でも、タイピングや会話は中国語しか使わない。

理解できない?

それは彼女には関係ないことだった。

島田凜は今日だいぶ良くなっていて、腕の青あざも消えていた。白川華怜と一緒にタピオカ店に行った。

彼女はアルバイトに入った。

木村翼はタピオカ店の入り口で白川華怜を待っていた。

明石真治は木村翼に付き添っていなかった。木村翼と一緒に白川華怜を待っていたのは田中局長だった。

「白川さん」田中局長は電話中だったが、白川華怜を見ると相手に一言告げて電話を切った。それでも依然として憂いに満ちた表情だった。

木村翼は立ち上がり、白川華怜の側に寄って、彼女の服の裾を掴んだ。

白川華怜は本来田中局長と話す気はなかったが、昨日相手が安藤宗次にタバコをくれたことを思い出し、カバンを下ろして、だるそうに尋ねた:「何か問題でも?」

「ええ」田中局長は白川華怜に対して警戒心を持たず、愚痴をこぼし始めた:「陽城文化観光局の仕事で、多くの文化財の修復が必要なんですが、昨日作業員と警察隊が揉めてしまって、ネット上で大きな問題になってしまって……」

メディアの過剰な報道により。

この件は陽城市にとって非常に悪影響だった。

一方では貧しい地域の住民のモラルの低さを非難し、もう一方では地方警察の腐敗を指摘している。

事態そのものが極めて微妙だった。

田中局長はこのニュースを完全に規制し、記者の取材を阻止すべきか考えていた。

もちろん、今は単に愚痴を言いたいだけで、白川華怜からアドバイスをもらおうとは思っていなかった。

白川華怜は図書館に向かいながら静かに聞いていた。聞き終わってから田中局長を見て言った:「この件は規制しない方がいいですよ」

「え?」

田中局長は驚いて白川華怜を見た。