055青水晶の花、中村くんも白川くんの字を見に来て(2)

中村家。

中村優香が帰宅すると、中村修が秘書に指示を出しているところだった。「タバコ、ルートはあるか?タバコをたくさん集めてくれ。」

秘書長は頷いた。

最近、田中さんの部下がタバコを大量に探していることは耳にしていた。表向きは平和だが、裏では皆がどれだけの量を調達したか分からない状況だった。

陽城市はタバコの産地ではない。

彼らは全国各地で希少なタバコを探し、田中さんへの切り札にしようとしていた。

中村修が階上に行ってから、秘書長は中村優香に向かって言った。「お嬢様、今日、15組のあの人が謝罪に来ましたか?」

「いいえ」中村優香は首を振ったが、心の中では不安だった。「校長先生も来なかったわ。何か問題があるのかしら?」

15組の人が来なくても。

校長先生くらいは来るはずなのに。

しかし中村優香は午後ずっと誰も来なかった。

あの日怒りを爆発させた後、中村優香は帰ってから事態の深刻さを知ったが、校長先生に会いに行く面目がなかった。

そこで秘書長に解決を任せた。

「何も問題はありませんよ」秘書長は中村優香の実力を非常に信頼していた。「彼らに他に選択肢はありません。あなた以外に、このプロモーション撮影を手伝える人がいるでしょうか?」

秘書長の慰めの言葉を聞いて。

中村優香の心は落ち着いた。その点は確かにその通りだった。

「今あなたがすべきことは、じっと我慢して、誰が先に耐えられなくなるか見ることです。実力が全てなのです」秘書長は笑いながら言った。「ご覧なさい、明日には彼らがあなたに頭を下げに来るはずです。」

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図書館。

白川華怜が木村翼と座ったばかりのとき、メッセージを受け取った。登録されていない電話番号からだった——

【明日、どこかで話し合いましょう。】

署名はなかったが、白川華怜は安藤蘭からだと分かった。

彼女は返信しなかった。

電話の向こうで、安藤蘭は返信のないメッセージを見て、やはり気が滅入った。

傍らで、渡辺泉が行政総監とビデオ会議をしていた。彼は眉をひそめて言った。「タバコのルートがないって?もっと探してくれ。田中さんが陽城市にいる今がチャンスだ。」

江渡市では、田中さんに会える機会すら得られないのだから。