057 会長先生、華怜さんが事を起こそうとしている(2/2)

校長はまだ本を整理していた。

物音を聞いて、急いで本を置き、二歩前に進んだ。

加藤正則が一枚の紙を見つめているのを見て、彼も下を向いて見てから、笑みを浮かべた。「これは白川くんが書いた字ですよ。中村くんと比べても、全く引けを取りませんね?」

校長は中村優香が加藤正則の直弟子だということを知っていた。

だから白川華怜を過度に褒めることはしなかった。

しかし加藤正則は首を振った。「いや、この筆力は、優香どころか、私の孫でさえも...及ばないかもしれない」

校長には分からなかったが、加藤正則には明確に分かっていた。

素人には「入木三分」の真の意味が分からない。筆先が紙の中に入り込み、指先の力加減の緩急を自在に操る。このレベルに達するには、相当な実力が必要だ。

彼は無意識のうちに、この字は男子生徒が書いたものだと思い込んでいた。