062 華怜さんの奇策、優しい木村坊ちゃま_2

彼は信じられない様子で白川華怜を見つめていた。

白川華怜はスマートフォンを取り出し、ゆっくりとイヤホンを取り出して、英語のリスニングを聴く準備をしていた。

「出られないの?」白川華怜が顔を上げた。黒いイヤホンをまだ手に持ったまま、真っ白な上着を着た少女は、瞳を少し上げていた。昼の陽光が眩しく、彼女の白玉のような眉目を照らし、朦朧としながらも艶やかすぎるほどだった。

スカートの金糸が冷たい光を反射していた。

富田副会長は「出られますが...十分で終わったんですか?」

こんなに厳粛な大会で、三年に一度の開催で、しかも書道協会の枠がかかっているのに、紀伊辰也でさえ細心の注意を払って一切のミスを出さないようにするのに。

誰が十分で書き終えるというのか?

「はい」白川華怜はイヤホンを耳に差し込み、横目で「飛行機に乗らないといけないので、明日は授業があるんです」