白川華怜は最後尾を歩きながら、ゆっくりと答えた。「できるだけ頑張ります。」
男子学生は頭を掻いた。
前方では、大勢の人が加わった藤野弘も列の中に女子がいることに気付き、北区書道協会は女子が少ないため、加藤京弥の方を向いて尋ねた。「あの女子のこと、知ってる?」
加藤京弥は後ろを見ずに、ただ頷いた。
「選ばれて参加できるってことは、実力はかなりあるんじゃない?」藤野弘は少し興味を持って、知り合いになりたいと思った。
加藤京弥はそれを聞いて、冷笑した。「九級も取ってないよ。」
「あぁ...」藤野弘は即座に興味を失った。
彼らの一行は誰もが九級で80点以上なのに、九級すら持っていない者が来るとは。
書道協会の門は重厚で厳かで、木製の看板に金色の梁体字、門の幅は八メートルもあり、両側には石獅子が鎮座していて、皆がここで記念撮影をしていた。
富田副会長も藤野弘たちも例外ではなかった。
白川華怜は男子学生のスマートフォンを借りて、彼の写真を撮ってあげた。
スマートフォンを返そうとした時。
その時、門の前が騒がしくなった。
全員の視線が正門の方向に向けられ、書道協会の扇型のロゴが入った服を着た一群が正門からゆっくりと歩いてきた。
全国各地から書道賞に参加した若い書道家たちは思わず見入った。
彼らの着ている書道協会の制服に熱い視線を送った。
「紀伊辰也だ!」
「本当に彼みたい!」
「...」
驚きの声が上がった。
「紀伊辰也か...」白川華怜の隣の男子学生も非常に熱心にその一群を見つめ、振り返って白川華怜と話そうとしたが、彼女がスマートフォンを見ながら...単語を暗記しているのを見つけた。
「どうしたの?」彼が自分をじっと見つめているのに気付いて、白川華怜は少し首を傾げ、目を細めた。
「興味ないの?」彼の胸に溢れる熱血は白川華怜の冷たい目線一つで瞬時に消え去った。「紀伊辰也だよ、今回の優勝候補で、噂では次期会長になるって...」
そして彼は話している間に、白川華怜がまた一つ単語を暗記するのを見た。
男子学生:「...」
白川華怜にそんな風に気が散らされ、男子学生が再び書道協会の人々を見た時には、瞳の中にあれほどの熱意は残っていなかった。「WeChat交換しよう。」