「はい、ホテルに問い合わせてみます」富田副会長は適当に返事をした。
白川華怜が無事であればそれでよく、到着したかどうかは彼にとってそれほど重要ではなかった。
ホテルに着くと、参加者の宿泊手配を済ませ、ホテルのスタッフに白川華怜の所在を確認した。
白川華怜は午後には到着していたと分かった。
富田副会長は少し驚いた。白川華怜は朝に出発したばかりのはずだ。陽城市から北区までは時間がかかり、北区から江渡まで飛行機で5時間もかかるのに、こんなに早く着いたのか?
もしかして昨日出発したのだろうか?
しかし富田副会長は白川華怜のことにこれ以上時間を費やさず、加藤正則にメッセージを送った後、休息を取りに戻った。
明日はまだ厳しい戦いが待っている。
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翌日。
朝8時。
富田副会長は全参加者に一斉メッセージを送り、1階のロビーに集合するよう指示した。
ホテルは書道協会に近く、ほとんどの参加者がここに宿泊していた。
白川華怜が降りてきた時、ロビーにはすでに多くの人が集まっていた。彼女は木村浩にメッセージを送った後、群衆の中を見渡し、最後にホテルの正面玄関の右側で富田副会長を見つけた。
彼女は今日、白いトップスに金色の花柄が刺繍された馬面スカートを着ていた。
上品でありながら華やかだった。
白い肌に細身で背が高く、黒髪は手軽にまとめられ、少し俯いて歩く姿に、通りすがる人々は次第に声を潜め、静かに彼女を見つめていた。
白川華怜は富田副会長のところへ受付に向かった。
富田副会長は厳しい表情で、無愛想に白川華怜の名前にチェックを入れ、注意を与えた。「試験中は勝手に動き回らないように。終わったら入口で待っていなさい」
「はい」白川華怜は軽く頷いた。
意外に素直そうだった。
富田副会長の表情が少し和らいだ。
「副会長が僕たちにこんな態度なのに」隣で黒いパーカーを着た男子学生が白川華怜に小声で言った。「藤野弘には随分優しいんだよ」
白川華怜は彼の方を一瞥した。
男子学生は頭を掻きながら、少し赤面して「君が今回唯一の女子参加者だよね。昨日聞いたよ」と言った。
彼が話している最中。
北区からの集団の中から突然「藤野弘が来た!」という声が上がった。
「やっと会えるんだ」
「あれが藤野弘か!」