白川華怜は眉を少し上げた。
「違うわ」と彼女は安藤宗次を見ながら、ゆっくりと答えた。「先生が私にコンテストに出るように言って、二日間の休みをもらったの」
「ああ」安藤宗次は頭を下げ、タバコを吸い続けた。
この時、彼はもう安藤蘭のことについて何も言わなかった。
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加藤正則は白川華怜の休暇を承認した。
陽城市には空港がなく、北区まで12時間の列車に乗らなければならない。加藤正則には同行する資格がなく、白川華怜と加藤京弥の二人が北区で北区書道協会の人々と合流することになっていた。
北区書道協会の富田副会長が彼らを引率することになっていた。
月曜日の朝。
白川華怜は簡単なバッグを持って、バス停に着いたところだった。
向かい側で、車の窓に寄りかかっている木村翼が手を振っているのが見えた。