059 彼は白川華怜が白金を取り出すのを呆然と見つめた(2)

今回の書道賞の参加者はそれだけで、渡辺和美も紀伊辰也が自分より上手いことを認めるだけだった。

他の人については……

三位については、彼女は全く考えていなかった。

渡辺泉はバックミラーを見ながら、感嘆して言った。「二位でも凄いわよ。書道賞は今まで何回も開催されてきたけど、女性で一位を取ったのは一人だけよ。」

渡辺和美が二位を取れば、その注目度は紀伊辰也以上になるだろう。

この点について、渡辺泉もよく分かっていた。

ますます同級生を妬んでいた。

助手席では、安藤蘭が携帯を手に持っていた。彼女は会話に加われず、ただ書道賞について検索するだけだった。

「明石坊ちゃま」や紀伊辰也、木原会長については、全く知らなかった。

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土曜日だったので。

白川華怜と安藤宗次は昼食を安藤秀秋の家で食べていた。