今回の書道賞の参加者はそれだけで、渡辺和美も紀伊辰也が自分より上手いことを認めるだけだった。
他の人については……
三位については、彼女は全く考えていなかった。
渡辺泉はバックミラーを見ながら、感嘆して言った。「二位でも凄いわよ。書道賞は今まで何回も開催されてきたけど、女性で一位を取ったのは一人だけよ。」
渡辺和美が二位を取れば、その注目度は紀伊辰也以上になるだろう。
この点について、渡辺泉もよく分かっていた。
ますます同級生を妬んでいた。
助手席では、安藤蘭が携帯を手に持っていた。彼女は会話に加われず、ただ書道賞について検索するだけだった。
「明石坊ちゃま」や紀伊辰也、木原会長については、全く知らなかった。
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土曜日だったので。
白川華怜と安藤宗次は昼食を安藤秀秋の家で食べていた。