058書道協会が来た!第2位は確実!_3

話が終わると、田中局長は外へ向かった。

明石真治は田中局長が部下と話しているのを聞いた。「釣り道具を用意してくれ……」

明石真治:「……?」

安藤、お、じ、さ、ん?

この田中長邦が呼んでいたのは誰だ?

明石真治の表情はますます冷たくなり、田中局長の背中を見つめた。

手を軽くこすった。

まだ横に立っていた渡辺和美も心の中で驚いていた。安藤?

江渡中を探し回っても、田中局長がこれほど反応するような安藤という姓の人物は聞いたことがなかった。この「安藤おじさん」は一体誰なのか?

明石真治は渡辺和美を一瞥し、冷たく言った。「渡辺さん、まだ何かご用でしょうか?」

彼は丁寧に渡辺さんと呼んだ。

渡辺和美は返事ができなかった。慌てて姿勢を正し、無意識に上階を見てから言った。「明石坊ちゃまのお邪魔はもうしません」

鉄門を出ると、渡辺和美の表情は随分和らいだ。

白い車が隣の通りで待っていた。

安藤蘭は助手席に座り、前方を見つめていた。白い姿を見かけると、運転席の渡辺泉は急いでドアを開けて降りた。

渡辺泉が車を降りたので、安藤蘭も当然大きな顔はできず、一緒に降りた。

「渡辺さん」渡辺泉は笑顔で渡辺和美に挨拶した。

彼は渡辺和美の父親の旧知で、渡辺和美は彼に頷いて、軽く微笑んだ。「渡辺おじさん、二日ほど滞在します。今回はご迷惑をおかけします」

渡辺泉は渡辺和美が父親の面子を立てて渡辺おじさんと呼んでくれているのを知っていた。渡辺和美は礼儀正しかったが、渡辺泉は自分を本当の叔父と思い込むことはなかった。

「こちらが私の将来の妻、安藤蘭です」彼は渡辺和美に紹介した。

渡辺和美は渡辺泉の妻が誰であるかに興味はなかったが、「安藤」という姓を聞いて安藤蘭を見た。

無意識に先ほどの田中さんの「安藤おじさん」という言葉を思い出した。

「江渡のどちらの方ですか?」渡辺和美は安藤蘭を見つめ、やや厳しい口調で尋ねた。

渡辺泉は渡辺和美の態度に驚き、そして笑った。「彼女は江渡の人間ではありません。陽城市の出身です。今回はちょうどプロジェクトがあって、彼女の父親に会いに一緒に来たんです」

安藤蘭は渡辺泉の言葉を聞きながら、申し分のない笑顔を浮かべていた。

しかし心の中は非常に苦しかった。