068中村修停職、特級会員!_4

藤野悟志は名簿を提出し、翌日には北区へ飛び立った。

さらに電車を乗り継ぎ、埃まみれになって陽城市に到着したのは月曜日の午後だった。

藤野家からは誰も見送りに来なかった。

彼は少しも意外に思わなかった。そもそも彼は運命に選ばれた人間ではなかったのだから。

藤野悟志は一人でスーツケースを引いて書道協会に到着すると、加藤正則が玄関先で掃除をしていた。

彼を見て顔を上げ、笑顔で言った。「藤野悟志君だね?まずは中へどうぞ。六時からメンバー会議があるから。」

白川華怜は静かに書道協会を設立し、開所式もなければ記者会見もなかった。

彼女は地元の段位を持っていない古い書道家たちを直接招待しただけだった。

筆を取って「陽城書道協会」という看板を書いた。

藤野悟志は以前加藤京弥から聞いていた話で、陽城書道協会はとても荒れ果てているだろうと思っていたが、実際に来てみると、古いものばかりだが非常に趣があった。

彼は茶碗を手に取り、一口飲んだ。

「この茶はどこのものですか?」藤野悟志は加藤正則を見上げ、違和感を覚えた。

この茶は……

どうしてこんなにプーアル茶に似ているのだろう……

なぜそれがわかったのか?

それは、祖父が藤野弘が書道賞の候補に選ばれた時に、藤野弘に茶餅を贈ったからだ。藤野弘は一年中自慢げに話し、藤野悟志にも飲ませてくれたので、藤野悟志ははっきりと覚えていた。

彼はこの茶の色が藤野弘のものよりもずっと良いように感じた。

「ここのね」加藤正則は後ろの大きな壺を指差して言った。「白川くんが持ってきたんだ。気に入った?後で少し持って帰るといい。ここは資金が少なくて、こんなものしかないんだが……」

彼はため息をついた。

藤野悟志は後ろに置かれた数十センチの高さの壺を目を丸くして見つめ、それから手元の茶を見下ろした。

「?」

あの時の茶餅一つで藤野弘は長い間自慢していた。

これほどの量があるなら……プーアル茶ではないはずだ。

六時が近づいてきた。

白川華怜は木村翼を連れてやってきた。

彼女は一中の制服を着て、バッグを手に、髪を結い上げ、夕陽を踏みながら書道協会の大広間に入ってきた。