空沢康利はこんな愚痴を吐くことはできなかった。
木村坊ちゃまは片手で持ったミルクティーにストローを適当に差し込み、表情は極めて平静だった。ただ、ミルクティーを持つ手が白く冷たく、アイスミルクティーよりも冷たそうに見えた。
白川華怜は一口飲んでから、しばらく横で彼を観察し、畑野景明が書いていたテスト用紙を引き抜いて木村浩の前に置いた。「木村先生、この問題を見ていただけますか?」
木村浩は表情を冷淡な様子に戻し、「ああ」と答えた。
彼は問題を見下ろした。
そして白川華怜に説明を始めた。
向かい側の畑野景明はペンを持ったままの姿勢で、「……?」
自分はここにいない方がいいのだろうか?
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白川華怜は問題を終えると、夕方に水島亜美を見舞いに行った。
毎回、安藤蘭と渡辺泉を避けるようにしていた。