数学は最後の問題だけが江渡大学のアプリの難易度に達していた。
木村浩は彼女が最近アプリの数学と物理の問題を片っ端から解いていることを知っていた。そうでなければ、誰かが「あなたのアプリはブロックされているんですか?」と尋ねてくることはなかっただろう。
「そうよ」白川華怜はストローを差し込んで一口飲み、ゆっくりとした声で答えた。
「量子力学の先生があなたに会いたがっているんだ」木村浩は察していたようで、あまり言いたくなさそうな表情を浮かべたが、白川華怜の興味がどこにあるかを知っていた。「彼は物理も量子力学もかなり優秀だよ」
白川華怜の目が輝いた。「あなたと比べてどう?」
木村琴理は横で聞いていて額がピクリとした。この世で木村坊ちゃまを物差しにできるのは彼女だけだろう。