数学は最後の問題だけが江渡大学のアプリの難易度に達していた。
木村浩は彼女が最近アプリの数学と物理の問題を片っ端から解いていることを知っていた。そうでなければ、誰かが「あなたのアプリはブロックされているんですか?」と尋ねてくることはなかっただろう。
「そうよ」白川華怜はストローを差し込んで一口飲み、ゆっくりとした声で答えた。
「量子力学の先生があなたに会いたがっているんだ」木村浩は察していたようで、あまり言いたくなさそうな表情を浮かべたが、白川華怜の興味がどこにあるかを知っていた。「彼は物理も量子力学もかなり優秀だよ」
白川華怜の目が輝いた。「あなたと比べてどう?」
木村琴理は横で聞いていて額がピクリとした。この世で木村坊ちゃまを物差しにできるのは彼女だけだろう。
「私の次だね」木村坊ちゃまは微笑んだ。
白川華怜の同意を得て、木村浩はようやくスマートフォンを開き、あるチャットを開いた。
相手からのメッセージが表示されていた:【彼女は返事をくれない】
【まだ返事がない】
【くそっ、未読のままだ!】
木村浩は何度も見返してから、ゆっくりと返信した。
木村坊ちゃま:【そうですか】
木場院長:【そうなんだよ。君は知らないだろうけど、彼女は君以上にクールなんだ(泣)】
木村坊ちゃま:【まさか】
木村坊ちゃま:【[画像]】
木村坊ちゃま:【ほら、彼女は私をフォローしてくれたよ】
木場院長:【…………………………】
木村坊ちゃまは満足げに眺めた後、とても傲慢に白川華怜の名刺を渡した。
スマートフォンの向こうの木場院長は「……」
江渡附属中学校。
校長は一晩考えても分からなかった。
今、彼は生物と化学の教師を呼んで会議を開いていた。「問題の出題に問題があったんじゃないですか?何か間違いがありませんでしたか?」
教師たちは何を言っているんだという表情で「問題は全て私たちが審査したものです。間違いなどあるはずがありません!」
ここで教鞭を執れる者に、実力のない者などいない。
校長にそのような侮辱を受けるわけにはいかなかった。
自信を持って答えた。
「私もそう思っていたんですが」校長は机に手を置き、静かに顔を上げた。「昨夜、木村執事が化学と生物の問題集を要求してきたんです。木村坊ちゃまの指示だそうです」