「いいえ、十年後、私をそんなに信用できないの?」遠山貴雲は冷笑した。「被告人の第一の心得は、弁護士を完全に信頼することだと知らないのか」
山田は「信頼したいんですけど」とぶつぶつ言った。
心配を抱えて入室した遠山貴雲は、出ようとした時、山田にひどく腹を立てた。
木村坊ちゃまの数言で山田がこんな風に変わってしまうとは、思いもよらなかった。
黙っていた方がましだった。
木村坊ちゃまに良いことを期待するなんて無理だ。
田中局長は入口で彼を待っていた。
木村浩が去る時の表情はいつも通りで、田中局長は進展が読めず、軽々しく推測して尋ねることもできなかった。
「どうでしたか?」遠山貴雲が出てくるなり、田中局長は急いで尋ねた。
「なぜみんな私を信用しないんだ?十年?十五年?死刑?」遠山貴雲は田中局長に不満を漏らし、自分の顔を指さした。「私の顔は十分な権威があると思うんだが、なぜ少しも信用してくれないんだ?」
田中局長はそれを聞いて、黙って顔を上げた。「……帽子のせいかもしれません」
「帽子?」遠山貴雲は眉をひそめた。
どんな帽子?
「あなたの頭の上の」田中局長は彼の口調から山田の状態が良好だと察し、視線を外に向けながら、言いにくそうに言った。「コック帽です」
遠山貴雲はその場で足が止まった。
彼は自分のスーツのズボンと白いシャツを見下ろした。
そして震える手で頭に触れると、コック帽に触れ、雷に打たれたように「つまり、私は午後ずっとこの帽子をかぶったまま歩き回っていたということ?」
「はい」田中局長は頷いた。
「なぜ教えてくれなかったんですか?」遠山弁護士の冷厳で真面目な顔が少しずつ崩れ始めた。
ケーキ屋から山田家まで、そして警察署まで、ずっとこれをかぶっていたということ?
この間抜けな姿を——
通行人が見た。
白川さんが見た。
木村坊ちゃまが見た。
田中局長は彼が知らなかったことに、彼以上に驚いた様子で、頭を掻きながら困惑して、慎重に言った。「何か特別な意図があってのことだと思っていました」
例えば相手の警戒を解くためとか。
「言ってください」遠山弁護士は田中局長に冷静に言った。「何年入りたいですか?」
田中局長は「……」
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陽城第一高校。
木村浩は冷たい表情で車を路肩に停めた。