096黒水通りに新王誕生!_2

柔らかい黒いジャケットを羽織ることで、逆に顔がより白く映える。彼女の外見には攻撃性がなく、長いまつ毛を垂れ、周囲の散りばめられた光が彼女の鼻筋や横顔に美しく当たっていた。

周囲の視線が絶え間なく注がれていた。

ようやく今になって、その視線も収まりつつあった。

木村浩は白川華怜の隣に座り、軽くシートの背もたれに寄りかかり、淡い瞳でリングを見渡した。騒がしく、血なまぐさく、圧迫感のあるリングも、彼の表情を少しも動揺させなかった。

夜7時。

レーザーライトが点灯。

格闘が始まり、実況アナウンサーは興奮した様子で、「皆様、こんばんは。本日は黒水通り国際通信より、空前絶後のNO.1対決を生中継でお送りします!まずは現在UFCランキング8位のウェルター級選手、ブラックパンサーの入場です!」