096黒水通りに新王誕生!_2

柔らかい黒いジャケットを羽織ることで、逆に顔がより白く映える。彼女の外見には攻撃性がなく、長いまつ毛を垂れ、周囲の散りばめられた光が彼女の鼻筋や横顔に美しく当たっていた。

周囲の視線が絶え間なく注がれていた。

ようやく今になって、その視線も収まりつつあった。

木村浩は白川華怜の隣に座り、軽くシートの背もたれに寄りかかり、淡い瞳でリングを見渡した。騒がしく、血なまぐさく、圧迫感のあるリングも、彼の表情を少しも動揺させなかった。

夜7時。

レーザーライトが点灯。

格闘が始まり、実況アナウンサーは興奮した様子で、「皆様、こんばんは。本日は黒水通り国際通信より、空前絶後のNO.1対決を生中継でお送りします!まずは現在UFCランキング8位のウェルター級選手、ブラックパンサーの入場です!」

黒水通り格闘場は体重制限なし、生死を問わず、賞金も高額で、多くのUFC選手もここに来たことがあるが、あまりにも激しい試合のため、後に彼らは上がることを恐れるようになった。

ここのトップ10の選手は、皆UFCランキングに入る実力を持っている!

「続いては、格闘場で2ヶ月以内にNO.2まで上り詰めた白タンクトップの選手です!」

「ワーッ!」

怒涛のような歓声が会場を包み込んだ。

田中局長の隣の明石真治も興奮して立ち上がり、拳を握りしめて声援を送った。

試合は5ラウンド制で、各ラウンド5分間、5ラウンド中3勝制。

両者とも実力のある格闘家で、最初の2ラウンドは互角の戦いを繰り広げ、2対2。最終ラウンドでは、賭けプールの資金はすでに3億円まで膨れ上がっていた!

「残り5分!どうなるか目が離せません!」

「白川さんは必ず勝てます」明石真治は汗を拭いながら、リングから目を離さなかった。

田中局長は試合の内容をあまり理解できていなかったが、白川華怜は少し黙っていた。彼女の隣で、木村浩も真剣に見ていた。最初から最後まで、彼はこの時だけ一言言った:「ブラックパンサーのグラウンドコントロールは強すぎる、UFCの天井だ。白井くんが勝つとしたら、かなり苦戦するだろうな」

その声は大きくなかったが、明石真治たちにも聞こえた。

明石真治は思わず木村浩を見た。木村坊ちゃまがこれほど格闘技に詳しく、専門用語まで知っているとは知らなかった。