096黒水通りに新王誕生!

青龍バーは評判が高かった。

中には様々な人物が入り混じっていたが、誰も中で事を起こす勇気はなかった。それは、中のボディーガードと警備員が普通の人間ではないからだ。前に中で事を起こした者は、今では消息すら分からない。

バーには人が多いが、上層部を見たことがある人は少ない。

背後にはドーソン家がいると言われている。

今日は初めてバーの内部スタッフを見た。

周りの人々の視線が、思わずこの静かな男性に注がれた。前髪が揃った黒髪、シンプルな白いジャケット、清潔で美しく、バーの人間とは思えない雰囲気だった。

姉さん?

誰に向かって呼びかけているのだろう?

田中局長と田中恭介も、この人が呼んでいる「姉さん」は誰なのかと見回していた。

見ているうちに、この静かで少し照れ屋に見える男性が彼らの前で立ち止まり、「姉さん、どうしてここに?」と声をかけた。