094東区武術クラブ_2

しかし、その後なぜか、二ヶ月間の改善命令を受けた。

老館長は心労が重なり、その後亡くなってしまった。

形意道場はそれを機に急降下し、生徒たちは皆、風撃館テコンドーへと流れていった。

藤野悟志は話し終えると、頭を掻きながら「でも金子館長は今、建設現場で働いているんです。周りの人は金子館長はすごく強くて、武術六段だって言ってます。どの道場でも指導者になれるはずなのに、なぜか土方をしているんです」と言った。

「六段が六段で、土方がなんだっていうの?」白川華怜は彼を一瞥し、ゆっくりと評した。「頭が固いわね」

藤野悟志は一瞬戸惑い、「そうですね、確かに」と思い至った様子だった。

だが、もし自分だったら、そんな面子は保てないだろう。

「うちの親戚に、昔勉強をサボってお箏を習っていた人がいて」藤野悟志はふと思い出して、「曾祖父に男のくせに女々しいと叱られて、それで母親と一緒に家を出て行って……」