103宴会、中村家の人々は呆然(2更)

二人とも階段を降りてくるのは木村翼だと思っていた。

木村翼の存在は二人とも知っていた。木村浩はどこにいても彼を連れていたからだ。

木製の階段の曲がり角に、雪青色のグラデーションのスカートの裾が見えた。

スカートには枝垂れ梅の刺繍が施されていた。

歩みに合わせて、一段一段と広がっていく。

二人は思わず顔を上げた。一人の女性だった。墨を流したような長い髪を木の簪で結い上げ、その顔は慵懶で艶やかだった。田中恭介は思い出した。前回会った女性だった。

なぜ彼女が?

しかも上の階から降りてきた?

田中恭介は驚いた。

木村浩はようやく白川華怜の方を見て、後ろの子供の姿が見えないことに気づき、「絵を教えるのに夢中で降りてくるのを忘れたのかと思った」と言った。

白川華怜はゆっくりと顔を上げた。「……?」

明石真治も少し呆然としていた。

白川華怜は足早に歩き、木村浩も明石真治も他の二人を紹介しなかったので、彼女も何も言わなかった。

ただ彼の側まで来ると、声を低めて「私はしていない」と言った。

木村浩は物憂げに彼女を見下ろした。

信じていない様子だった。

二人は外へ向かった。

しばらくして、彼はまた尋ねた。「彼の絵は本当に僕より上手いのか?」

白川華怜は平然とした顔で「あなたほど上手くないわ。あなたは写実派でしょう。もう一度あなたの猫を見てみる?」

彼女は手を後ろに回して携帯を取り出した。

木村坊ちゃまは何も言えず、無表情で彼女が写真を開こうとする動作を止めた。

彼は初めて写実派という言葉に嘲笑の意味を感じた。

「……」

外から車のエンジンの音が聞こえてきた。

ホールにはまだ三人が立ち尽くしていた。

今になってようやく理解したようだ。つまり……

さっきの木村坊ちゃまは誰かを待っていたの????

世界が不思議なものに見え始めた。

明石真治は大きな波風を見慣れていたので、すぐに我に返った。

他の二人はかなり混乱していた。特に以前白川華怜に会ったことのある田中恭介は、田中家の老当主でさえ彼を待たせることはなかったのに。

明石真治は田中恭介のことは気にせず、ただ「吉田様、吉田様?」と吉田瑞希を呼んだ。

吉田瑞希はぼんやりと我に返り、明石真治の方を振り向いて「明石さん、さっきの方は……」