103宴会、中村家の人々は呆然(2更)

二人とも階段を降りてくるのは木村翼だと思っていた。

木村翼の存在は二人とも知っていた。木村浩はどこにいても彼を連れていたからだ。

木製の階段の曲がり角に、雪青色のグラデーションのスカートの裾が見えた。

スカートには枝垂れ梅の刺繍が施されていた。

歩みに合わせて、一段一段と広がっていく。

二人は思わず顔を上げた。一人の女性だった。墨を流したような長い髪を木の簪で結い上げ、その顔は慵懶で艶やかだった。田中恭介は思い出した。前回会った女性だった。

なぜ彼女が?

しかも上の階から降りてきた?

田中恭介は驚いた。

木村浩はようやく白川華怜の方を見て、後ろの子供の姿が見えないことに気づき、「絵を教えるのに夢中で降りてくるのを忘れたのかと思った」と言った。

白川華怜はゆっくりと顔を上げた。「……?」