102 華怜の実力、クールでダブスタな木村坊ちゃま

「順子さん」宮山小町は藤野院長のことを思い出し、考え込むように言った。「華怜さんはお箏が弾けるから、彼女に頼んでみたら?」

森園雄は木村翼から瓜子を受け取り、「そうそう」と言った。

順子さんは白川華怜の顔をじっと見つめた。夕陽の中で彼女の顔は流れる月のように憂いを帯び、艶やかでありながら妖艶さはなく、くつろいだ様子でありながら、一挙手一投足に落ち着きがあり、自信に満ちながらも謙虚さを失わず、槍術もお箏も使いこなす……

彼女は不思議な感覚に襲われた。

これこそが史書に記された白川さんなのだろうか?

順子さんは我に返り、「白川さん、私たちの白鳥春姫は今回本当にお世話になりました。ありがとうございます」

もちろん、白川華怜が作曲できると言っても、順子さんはまだ安心できなかった。

彼女も業界内の人脈を当たっていた。

短期間で作られたキャラクターソングは、順子さんも品質を心配していた。白鳥春姫は声質がいいものの、歌った後にネットユーザーから批判されることを恐れていた。

それは順子さんが絶対に見たくないことだった。

白川華怜と白鳥春姫、この二人がこのキャラクターのために尽くしてきたのだから、このキャラクターに一点の欠点も残したくなかった。

順子さんは希望を完全に白川華怜に託すことはせず、携帯を手に民安監督と連絡を取り、様々な人脈を探って、未発表のキャラクターに合った曲を買い取ろうとしていた。

白川華怜は順子さんが自分を完全には信用できないことを知っていた。順子さんだけでなく、白川華怜自身も確信が持てなかった。

そう考えながら、白鳥春姫に槍を水平に構えさせ、歩き方の練習を繰り返させた。

白鳥春姫は演技の才能があり、白川華怜が少し指導するだけで、その雰囲気を表現できた。

「小町」白川華怜は彼女の練習に問題がないと感じ、やっと宮山小町に体を傾けて尋ねた。「学校のお箏を二日間家に持ち帰ることはできる?」

宮山小町にもわからなかった。

「ちょっと待って」宮山小町は携帯を取り出し、渡辺茜の番号を探した。「茜に聞いてみる」

渡辺茜は文芸部の部長で、倉庫の鍵を持っていた。

「大丈夫だって」宮山小町は携帯をポケットに戻した。「私が取りに行ってくる」

宮山小町は渡辺茜とより親しかったので、白川華怜は引き続きここで白鳥春姫を見守った。