白川華怜が階下にいた時。
木村翼は食事を終えると椅子から飛び降りて二階へ向かった。
木村浩は無造作に椅子の背もたれに寄りかかっていた。マイクはオンだがビデオはオフで、表情は無表情。山田文雄が文献報告をしており、大画面には英語のパワーポイントが映し出されていた。
木村翼に気付いたが、木村浩は無視した。
木村翼は下を向いてゆっくりと腕時計をいじり、時々彼を横目で見ていた。
木村浩は何か様子がおかしいと気付き、マイクをオフにして指で机を叩き、木村翼を呼び寄せた。
木村翼は横に座り、相変わらず自分の腕時計に夢中で、彼を無視していた。
木村浩:「……」
木村翼は真っ黒な瞳で木村浩の前に置かれたお茶を見つめた。
よし。
木村浩は片手でカップを取り出し、お茶を注ぎ、立ち上がって彼の前に置くと、唇を歪めて「飲め」と言った。