114 田中局長の来訪(2/2)_2

渡辺泉の病室。

ランスの解毒剤は明日にならないと陽城市に届かず、彼は今も酸素吸入を続けていた。

「CNの神経毒だと言うんですか?」警察官は渡辺助手を見て、やや躊躇いがちに尋ねた。「確かですか?」

渡辺助手は頷いた。「これは全て中田先生が検査で確認したことです。記録も残っています」

警察官は頷き、それを記録に書き留めた後、安藤蘭を見つめた。「安藤さん、もし国外が関係している場合、捜査は非常に困難になります」

「なぜですか?」安藤蘭は警察官を見つめ、胸が大きく上下した。「渡辺さんは毒を盛られ、今も生死の境をさまよっているのに...」

警察官は被害者家族の感情を理解しつつ、メモ帳を手に取った。「我々には権限が十分ではありません。結局は未解決のまま終わる可能性が高いです」

彼は安藤蘭に正直に話した。