130名門望族、偶然の出会い_3

すれ違いざまに、彼は白川華怜のあまりにも優れた顔に気づき、もう一度見つめた。

他人がダウンジャケットを着ると少しもたつく感じがするのに、白川華怜は特に痩せて見えた。白いダウンコートには精巧な蔦と猫の刺繍が施され、背が高くて、色白で、その顔は艶やかでありながら媚びることなく、眼差しは物憂げだった。

「あれは誰?」高橋謙治は振り返ってもう一度見た。

側にいたスタッフが振り返って、「研修生だと思います」と答えた。

高橋謙治は頷いた。

白川華怜が広報室に着くと、校門にも一行が到着したところだった。

ほぼ同時だった。

広報室。

責任者と木場院長が揃っていて、室内は暖房が効いていた。白川華怜が手を伸ばしてドアを閉めようとすると。

木場院長はお茶を置き、手を上げて、「閉める必要はない、そのまま入って座りなさい」と言った。