132 白井沙耶香の驚愕、田中局長は招待状を求める

白川華怜が入ってくると、彼女に向けられた視線を感じた。

少し目を上げると、松木皆斗の隣に立つ白井沙耶香が目に入った。

軽く一瞥しただけで、すぐに視線を戻した。

「パソコン持ってきたの?」空沢康利は白川華怜が入ってくるのを見て立ち上がり、椅子を引いてあげた。「データを送るから……」

「データの処理は終わったよ」畑野景明も顔を上げた。

白川華怜は椅子に座り、パソコンを手近に置いた。

コートを脱ぎ、パソコンを開いてドキュメントといくつかのソフトを立ち上げた。

彼女のタイピングはゆっくりで、二本指だけを使っていた。初めて彼女のタイピングを見た空沢康利は一瞬黙り込んだ。

代わりに打とうかと言いかけた。

でも白川華怜の国語150点の成績を思い出し、自分には資格がないと悟った空沢康利だったが、それでも本当にタイピングを手伝いたかった。