123白川将軍が自ら演じる意気揚々!_2

「――第258幕、白川茂幸が負傷する」と監督が向こうで叫んでいた。

白川華怜と白鳥春姫は隅に立ち、白川茂幸を演じる俳優を静かに見上げていた。

彼女の後ろで、木村浩も少し顔を上げたが、帽子の縁が彼の表情を隠していた。

白鳥春姫は白川華怜が興味を持っているのを見て、説明を始めた。彼女は初日から台本を読んでいたので、この場面のことを知っていた。「258と259は繋がっているんですが、259は江渡で撮影することになっています」

山田のお母さんも撮影現場を見るのは初めてだった。「どうしてですか?」

「これは二つの出来事ですが、同時に起こったことなんです。脚本家はとても優れていて」白鳥春姫は台本を完全に理解していた。冷艶な顔つきながら、真剣な表情で続けた。「運命的な感覚を表現したいんです。白川茂幸が26年に戦場に赴き、27年に文羽天皇が平和と引き換えに第三皇女を西漠に嫁がせた、まさにその時、白川茂幸は北の陽城市を守っていて敵の矢に当たったんです」