白川華怜も、こんなに大きそうな図書館なのに、4冊の本も揃わないとは思わなかった。
彼女は司書に礼を言い、木村浩に愚痴をこぼした。
最後に欲しかった古文献をさらに2冊見つけ、カウンターで借りようとすると、司書はこんなにも異なるスタイルの本に驚いた様子だった。
本を借り終えると、彼女は12番のバスで清水通りに向かった。
伊藤満はタバコを咥えながら店主の店で年末商品を売るのを手伝っていたが、白川華怜が来るのを見ると、目を輝かせて小さな椅子から立ち上がった。「姉さん」
白川華怜は戻ってきてから、まだ伊藤満たちに会えていなかった。
伊藤満は白川華怜に最近の出来事を報告し始めた。
その時、清水通りの入り口で。
一台の車がゆっくりと停車し、中村修一行が車から降りてきた。中村優香は中村修と一緒に座っていたが、眉間にしわを寄せていた。これは初めて中村修が安藤家に年始の挨拶に来るのだった。
安藤智秋と中村綾香が前から降りてきた。
安藤智秋は前方の売店にいる白川華怜を一目で見つけた。彼女は金髪の少年と話をしていた。
「あなたの姪っ子?」中村綾香は安藤智秋の視線の先を追って白川華怜を見つけた。
彼女が話すと、中村修も白川華怜を見た。「彼女はあそこで何をしているんだ?」
「先に行っていてください。私は彼女を待ちます」安藤智秋は白川華怜の方へ歩き出した。「ついでに刻みタバコも買いますから」
中村綾香は稼ぎが多いが、安藤智秋は日常生活において質素な生活を送っていた。中村綾香が買ってくれたブランド服も普段着として着ていた。
中村修は中村優香の方を見た。中村優香は唇を引き締めた。「一昨日雨が降ったばかりです」
彼女は今日新しい服を着ていた。清水通りの石畳は踏むとすぐに黒い水が出てくる。ここに来ること自体が嫌なのに、白川華怜と一秒でも一緒にいたくなかった。
「まあいいか」中村修は白川華怜の隣にいる金髪の少年を見て、中村優香を強要しなかった。「北区から今日誰か来るって言ってたよね?」
「師匠から聞いた話では、藤野家の人が今日来るそうです」中村優香は中村修に言った。「藤野師範は北区書道協会の前会長です」
陽城市は広大な北区で最も目立たない市だった。
中村優香の話を聞いて、中村修は非常に驚いた。「北区の三大家族の藤野家?」