灯りが薄暗く、隣の庭から斜めに映る梧桐の木の影が壁で揺れていた。
木村浩は少し俯き、声の尾音には相変わらず冷たさが残っていた。
微風が木々の梢を撫で、この時間になると時折、近くの庭から細かな話し声が聞こえてきた。
彼は静かに白川華怜の手を取り、優しく抱きしめた。
彼女の黒い髪の先を見つめ、木の簪が灯りに照らされて微かに輝き、細く白い首筋が見える。今回は彼は白川華怜の肩に顎を乗せた。
そっと擦り寄せた。
路地には空気に漂うかすかなミントの香りだけが、静かでありながらも何となく落ち着かない雰囲気を醸し出していた。
「もういいよ」彼は手を離し、一歩後ろに下がって、しばらく彼女を見つめた。淡く美しい鳳凰の目が微かに曲がり、「おやすみ」と言った。
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庭で。
安藤宗次は石のテーブルに座って設計図を描いていた。その傍らで、木村翼は片手にリンゴの半分を、もう片手にパズルのピースを持ち、ゆっくりとパズルを組み立てていた。