168期初試験、稀に見る天才_2

白川華怜を見かけると、彼は手を少し上げた。「華怜ちゃん」

彼はスポーツウェア姿で、とてもカジュアルだった。

この数日間、彼は白川華怜をよく探していた。彼の気品のある端正な顔立ちのせいで、一中の掲示板には渡辺颯専用のスレッドまでできていた。彼が白川華怜の兄の一人だと知られると、多くの女子生徒がコメント欄で感嘆していた。さすが美人の家族は美人揃いだと。

一中の男子生徒たちは気が滅入っていた。やっと山田がいなくなったと思ったら、今度は外部から新たな強敵が現れたのだから。

白川華怜は森園雄たちに先に山田家へ行くよう伝えてから、渡辺颯を探しに行った。

彼女が近づくと、渡辺颯は彼女が手に持っているA4用紙の束に気付いた。全て丸めてあり、何なのかわからなかった。

「これは新作のバッグだよ」渡辺颯は視線を戻し、バイクの前部からベージュのバッグを取り出して白川華怜に渡した。「本を入れるのに使えるよ」